美津子さんにエールを!(バーゼル紀行 番外編)(Kako)

“バーゼル演奏旅行”では、Tomy Temerson と行動を共にし、彼がツィター演奏に対して妥協せずいかに厳しいか、指導に関しても常に向上を目指し、それを相手に要求するその姿勢を目の当たりにしました。
それは、彼が自身に対しても、常に向上を目指して努力しているからこそ他人にも求められる事でしょう。
リハーサルの日、ニコラは開始時間を一時間ほど遅れてやって来ました。
そして、椅子に腰かけているトミーの肩に肘をついて、『どこそこの道が渋滞していてね、ひどい目にあったの』 というような事を話しています。
指導者(指揮者)に対して、一楽員がこういった態度は?とちょっと驚きますが、彼女はドルナッハの音楽院でトミーと同じ頃学んでいた、という経歴の持ち主。もう一人、アルトツィターを受け持つエリカ、彼女も同様。
こういった人達も一旦練習となると、トミーの要求に必死で応えようとします。
トミーの音楽性、指導力、その上誠実な人間性に心酔しているからこそなのでしょう。
この様に、トミーは自分の“仕事”としての演奏と、慕い集まった人々から依頼される指導の道を、常に喜びと感謝をもって歩んでいることが私には身に浸みて感じられました。
一方、われらが美津子さんは、演奏者としての成長も目覚ましく、今や引く手あまた。先月28日には、聖徳太子開山といわれ1400年もの長い歴史のある山寺で“観月会”の依頼を受けて、一時間ものコンサートを。月齢も浅かったので、耳目は一斉に美津子さんに集まったことでしょう。
今月は12日のピアノの発表会(先生クラスの人々の精進の場)でショパンの大曲を。25日にはギターの佐々木さんと大津でコンサート。
来月はエルガリーを藤原さんと六甲で、といった具合に大忙し。
ここで思うこと、トミーさんの場合“仕事”としての演奏は大抵が豪華客船で、お客さんはその場一回限りのハイクラスの観光客。
プログラムは季節や国によって少しづつは変化を持たせるとは想像出来るけれど同じでも構わない。
その点、美津子さんの場合、一回毎にプログラムを変えて準備しなくてはならない。それをここ何年も真摯な気持ちを持って、しかも立派にこなしてきている美津子さん。それがどれ程大変な事かを思う時、心から偉いなぁ!と感嘆せずには居られません。
トミーさんは世界的に有名な奏者ですから “トミー・テマーソン” と敬称略で呼べますが、美津子さんも世界の“ミツコ・エトー”となる日を私は見届けたいものと思い、ここにエールを送ります。

カテゴリー: 新着情報   パーマリンク