オーストリアチター協会セミナー報告3「セーフェルトの保養地にて」(KAKO)

今日は、セミナーに参加する前に寄ったSeefeld (セーフェルト)の様子をお伝え致しましょう。
Seeは湖、Feld は野原 ここは静かな街中にカジノもある、オーストリアの中でも有名な高級保養地です。
ドイツのミュンヘン空港からインスブルック方向へ、ツークシュピッツェ等2000m以上の山々を前方に見ながらの約2時間、予約しておいた乗り合いタクシーは、10年来のセミナー友達の家まで有り難い事に、送り届けてくれるのです。
足長おじさん”と呼ぶことにしましょうか。運転手が玄関口でブザーを鳴らすと待ってました!と迎えられ。この旅で最初に会った懐かしい友。


湖の多いオーストリア、地名にSeeとうたっているのですから、どんな湖かしら?と想像を巡らせて来ましたが、翌朝行って見ると、綺麗に澄んだ水を静かに湛えた“広く大きな池”でした。

この“足長おじさん”の事を、ツィターが好きで上手な人、としてしか知りませんでしたが70歳までは、かの有名な企業、IBMのヨーロッパ総支配人なる重責を担っていらしたそうで、当時の写真を見せて頂くと、なるほど、ただのツィター小父さんではなかった事がよく解ったのでした。
奥様は丁度ウィーンのお家でお留守でしたが、足長おじさんは家事を何でも自分でこなしてしまいます。
丁度季節のホワイトアスパラを買って帰ると、ピーラーでスイスイと皮を剥き、じゃが芋は手の平で四つ割りにして圧力鍋で蒸かし、冷蔵庫から大きなハムの塊を出しスライス。
アスパラガスを茹でる間にそのためのソースをつくり、何と手際の良いこと!私など手伝う隙が全く無く、4泊5日を “お姫様”させて頂いたのでした。
昼間はお互いにZither-Solo を披露したり、チロルの民謡をDuoで弾いたり、ウィーンの歌を弾き語りしてもらったり、それにも飽きると近所の野原を散歩。
夜はコンサートにインスブルックまで車で出掛けます。
約30分の道のりですが、なにしろ標高1200mにあるセーフェルトから降りるのですから
その坂道の勾配の急なこと!日本ではヘアピンカーヴを多くして勾配を緩くしますのに。
ブレーキが利かなくなった時の為でしょう、300〜500mおき位にポケットの様な登り坂道が作られています。その様も私には物珍しく感じられ、ついパチリ。

インスブルック オペラ劇場内のちょっとした一角の舞台上にピアノがあり、80名ほどの客席がしつらえてあります。 その日はソプラノとバリトンの歌曲の夕べで、デュエットでメンデルスゾーン・コルネリウスの作品を、ソロでシューマン・グリーク・R.シュトラウスの作品を聴くことが出来、私としては随分暫く振りにクラシックの歌曲を生演奏で聴いたのでした。


聴き手の反応も熱烈で、舞台と客席が感動の渦に巻き込まれた様な、素晴らしいコンサートでした。
インスブルックではこういったクラシックから現代まで、様々なジャンルのコンサートがそれも10ユーロ位という気軽な値段で毎日どこかで開かれています。 音楽好きにはこたえられない良い街です。
次の日の夜には、教会での吹奏楽、しかも現代の作曲家の作品を聴きました。
それぞれの作曲者も来場していて、演奏が終わる度に立ってお辞儀し、その姿を見ると、この人のどこからこんなに斬新な音の構成が湧き上がるのかしら?とても絵画的な曲、それも抽象画で、一体どうやってこんな曲を書くのかしら?と不思議に思うと同時にとても刺激を与えられたのでした。
足長おじさんには良きツィター友達があります。 一度インスブルックまで下り、反対側の山の中腹まで登った所にその友、リーサが住んでいます。


彼女はチロル民謡が得意なので、楽器を出したら早速二人で片端から楽しそうに弾いて聴くせてくれます。
やがて近所に住むギターのサビーネも呼び寄せて。ギターの調子良い伴奏が入ることで、どれだけしっかり安定した響きとなることか、ギターに今更ながら物凄い憧れを感じた午後でした。  私も仲間に入れて貰うことしばし。“Musizieren”(合奏したりして楽しむこと)の心地よい午後でした。


さあ、これから Zeillern-Seminar (ツァイレルンのセミナー)へ向います。車で4時間の道程。
今日の報告はこれまで。 またどうぞお楽しみに!

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