オーストリアチター協会セミナー報告11「最後の一仕事」(KAKO)

最後の一仕事

セミナーは心とメモと写真にしっかり記憶させ、最後の一仕事は絃の会社 OPTIMA(オプティマ)の取材です。

オーストリアの Amstetten (アムシュテーテン)からドイツのミュンヘンまで列車で行こうと、出発前から時刻表をネットで調べておきました。駅で切符を買おうとすると、
『その列車はダメだ、乗れない。』
「この駅の時刻表にも載っているのに!この駅に止まるんでしょう?」
“Privat-Zug”だからダメだ!切符は売れない、ダメダ!』 の一点張り。
さらにねばって訊くと、“プリヴァート ツーク” とはネットで切符を予約した人
のみが乗れる列車の事なんだそうです。去年はそんな方式無かったのに! 来年はネットで予約しようっと。結局45分待って次の列車に乗ったのでした。

今回は都合で OPTIMA の工場には行かず、社長の H.Haslinger に会って
インタヴューして来ましたので、それをお伝えしようと思います。

ツィターを楽しんでいらっしゃる方にはとても親しみのある曲、“ロイザッハタール” この川は OPTIMA のある Wolfratshausen(ヴォルフラーツハウゼン) あたりまで下るとゆったりと流れる深い川になり、500mに一つ位、屋根のある木の橋が架けられています。
上流はその名に相応しく、大きな岩に当る白い水しぶきも激しくカヌーを楽しむには高度なテクニックを要する渓谷ですが。

このロイザッハ川を見たくて ミュンヘンから列車に乗って約45分、
Wolfratshausen で降り、川べりを散歩した事がありました。

 

流れに沿って遊歩道があり、木陰には所どころにベンチが。近くのパン屋さんで、木の実や干しぶどうの沢山入ったリッチなパン・飲み物・苺などを買い込んで、そのベンチに腰掛け、憧れのロイザッハの流れを目の当たりに、頭ではメロディーを追い、堪能したものでした。

 

あれは既に4年も前、2008年のこと。
ロイザッハは今も少しも変わる事無く、あそこをゆったりと流れているのでしょう。ヨーロッパの川は、雨が多過ぎると ”Hoch-Wasser” といって洪水を起こすことがありますけれど、天からの罰と甘んじて、でしょうか、醜い護岸工事などは一切せず、川筋は実に美しいものです。このロイザッハ川に沿ってのツィター曲については、また何時の日かお話する機会を得て、と致しましょう。

OPTIMA Haslinger へのインタヴュー

創業は何年前ですか?」

「100年余り前。OPTIMA の前身が MAXIMA。」

 

「 絃といってもどんな楽器の為の絃ですか?」

「 あらゆる弦楽器の絃、ピアノは鍵盤楽器だから除く。  全部で2、200種類、その内ツィター用はディスカント・アルトといった  楽器の高さの種類・アコースティックかエレクトリックかの別、またそれぞれに  ミュンヘン式かウィーン式かで替わって来るし、メロディー絃の D も 二種類あるから、合計すると700種類位かな。」

「 材料は?」

「メロディー絃は鋼鉄の針金と、針金に銅線を巻きつけたもの。 フライザイテンはナイロンに針金を、巻きつける。 赤い絃は銀線に色着けたもので作る。」

 

 

「絃を作る上で、どんな事に注意を払って作っているのですか?」

「 全ての絃が正しい音程と張力になる様に均一にかつ正確に紡ぐことを重視している。」

「 2200種類の絃の内、作る割合の一番多いのは?」

「マンドリンの絃。OPTIMA が世界のマンドリン絃の殆んどを作っている。

「 OPTIMA の従業員は何人ですか?」

「16人の従業員と私。 私も全ての仕事をこなせるよ。」

「絃を作る女性は、”Spinnerin” ですね、物語に出てくる美しい女性を想像します。これからも美しい音を奏でる絃を作って下さい、そして “Spinnerinen”に どうぞ宜しくお伝え下さい。」

「ああ伝えましょう、こちらこそどうも有難う。」

OPTIMA Haslinger インタヴューは以上これで今年のセミナー報告は予定通り全てお伝えする事が出来ました。毎日お読みくださり、有難う御座いました。正直なところかなりの時間を割かねばならず、まるで ANZ に “就職” した様な気がしたものですが、それを言うなら、HP.に載せる労を少しもも厭わず、心くばりして下さいました瀬戸春巴さんには、心よりお礼を申し上げなければなりません。まことに有難うございました。考えてみれば、これはセミナーに参加した自分自身の記録であり、また楽しい体験が二度も出来たようなもので、全て自分の為でもありました。

 

では、また次の機会に。                  KAKO

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