シュタイレッシェ ハーモニカと私(S.Uchikoshi )

シュタイリッシェ(スタイリッシェ) ハーモニカ (Steirische Harmonika) は英語ではステイリアン ハーモニカ (Styrian Harmonika) またはボタン ボックス(Button Box)と呼ばれるもので、オーストリアのシュタイアマーク州で生まれたものです。 いわば、ボタン式のアコーデイオンです。
大きさは中型のアコーデイオンくらいです。重さはかなり重くて私のは7kgあります。木製のケースが5kgありますので持ち運びはけっこうたいへんです。しかし音がきれいで大きく、伴奏の音が歯切れよく出来て民謡など演奏そるとすぐに踊りだしたくなるような明るい楽器です。
私がこの楽器に始めてお目にかかったが今から20年ほど前です。 ドイツのチター奏者 ヨハネス ポップさんから、ドイツの車BMWの販売促進キャンペーンが日本で行われるが、ドイツのバイエルンのチター奏者が派遣されるので面倒を見て欲しいと頼まれました。
ご存知のようにBMWは「バイエルン 自動車会社」からきていて本社工場もバイエルンにあります。その方はガーテイ フーバーさんという若くて美しい女性で、当時の東京チタークラブのメンバーでお世話をしました。
ガーテイ フーバーさんのレッスンを受けたりしましたが、コンサートでもう一つの楽器を演奏してくれたのです。これがシュタイリッシェ ハーモニカでした。なんとも素晴らしい楽器だと感激して、さっそくポップさんに注文したのです。ポップさんはすぐに楽器とコピーした教則本を送ってくださり、一ヶ月あれば弾けるようになりますよ、と書いてありました。ドイツでは、チターの先生になるためにはチターのほかに2種類の楽器を勉強する必要があるそうです。因みに、ガーテイ フーバーさんはいまドイツのチター界では偉くなってドイツ チター連盟の理事さんになって活躍しておられます。
教則本で自習しましたがとても1ケ月では無理でそのうち時間が無くてお蔵入りになっていましたが、2年前からまた勉強を始めました。今では浜松の常石さやか先生に指導を受けております。
さて、シュタイリッシェ ハーモニカですが、その構造を少し説明します。普通のアコーデイオンを想像してください。右手で弾くピアノの鍵盤にあたるところはすべてボタンです。 3列から4列にに並んだボタンがあります。全部で34ケです。別に4列の楽器もありますが私の持っているのは3列です。そして左側には11ケから14ケの伴奏用のボタンがあります。
この楽器は全音階を演奏できるようになっていますが、その楽器ごとの持つ決まった調のものしか弾けません。ほぼすべての調の楽器がありますので自分の好きな調の楽器を選ぶか、他の楽器と合せるために選ぶかということになります。私の楽器はポップさんがBb(B フラット)のものを選んでくださいました。
楽譜はいわゆるタブ譜(Tabulature note)が使われます。五線紙を使用しますが、チターなどの楽譜とはだいぶちがいます。五線紙の最初は拍子記号のみが示されます。これは同じです。先程書きましたが右手のボタンは3列になっていて真ん中の段の音は5線紙の線上に示されます。 下段の音は線間に示されます。一番上の列の音は線間に示しますがペケ マーク又は米印がつきます。音や休止符の長さは同じです。
この楽器は蛇腹を引いたときと押したときと音が異なります。口で吹くハーモニカと似ています。そして押すときは五線紙の下にアンダーラインがあり、引くときはアンダーラインがありません。伴奏絃は11ケにそれぞれアルファベットの文字がつけられています。大文字と小文字が付けられていてブンチャチャとやるブンは大文字チャチャのボタンは小文字です。
私たちのチターもかなり忙しい楽器ですがこの楽器も演奏しているときは全くボタンが見えませんのでブラインドタッチでやらなければなりません。しかし慣れてきますと結構いけるものですよ。
スイスにはエルガリーという楽器がありますがこれはすこし小さめです。でも音や音量はよく似ています。私はシュタイリッシェ ハーモニカのほうがどっしりしていて低音が豊かでソロ楽器としては面白いと思います。
私はいま、チロルの結婚式のマーチ (Zillertaler Hochzeitsmarsch) に挑戦しています。とても難しいところがありもう4ケ月もやってもまだまだ上手くなりませんが、こつこつやっているとすこしづつ出来るようになるようです。
皆さんも挑戦しみてはいかがでしょうか
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