バーゼル紀行(2)「市立美術館」(Kako)

Tomy さんがハーナウからレラッハへ、車で約4時間掛けての到着は夕方
6時過ぎの予定、それまでのこの一日だけが私達の自由観光時間です。市立美術館と紙博物館を訪ねることにしました。
バーゼルはライン川に沿って開け、印刷と出版で栄えた町ですがドイツ・フランスとも国境を接し、スイス・ドイツ・フランスがそれぞれの国鉄バーゼル駅を街中に持っている不思議な都市でもあるのです。
ドイツのバーゼル駅からライン川むこうの町まで徒歩で約30分、途中の国際見本市会場(4月に世界最大の宝飾と時計の見本市がバイヤーとプレスを集めて開かれる)を通り抜け、ラインに架かる“中間橋”を渡って中央郵便局で用事を済ませ、さて美術館は?と地図を片手に、行き交う人に訊きながら、公園で休みやすみして訪ね当てたのでした。
1671年に開設された世界最古の公共美術館の一つとか。
印刷業で財を成したアマーバッハ家のコレクションを市が購入したものが基となっているそうです。
1階
ジャコメッティ・カンディンスキー・クレー・マティス・ミロ・ピカソ・ルソー等20世紀の巨匠の絵が。
2階
15〜16世紀の多数の宗教画と16〜17世紀にまたがるグレコ(エル・グレコは現在のギリシャ領クレタ島出身のため、イタリア語で“ギリシャ人”を意味するグレコにスペイン語の男性定冠詞エルが付いた通称です。同様の例はレオナルド・ダ・ビンチ、ビンチ村のレオナルド)からオランダのレンブラント・ルーベンス、フランス・ロココ時代の作品
を経て、ピサロ・ベックリン・セザンヌ・セガンティーニ(これは小さな作品ながらアルプの清澄な空気まで表しており、数年前に訪れたサンモリッツのセガンティーニ美術館を即座に思い起させるものでした)・モネ・ゴッホ(中学生の頃教科書に載っていた“ピアノを弾く婦人”や、これ、本当にゴッホが描いたの?と疑いたくなるような写実的なパリの遠望も)等私達に最も親しめる19世紀の画家の作品が多数あります。
3階
その他の19世紀〜20世紀の絵画、マティス・クレー・キリコ・ルソーカンディンスキー・モンドリアン・モディリアニ・ピカソ・などが時代順作家別に小部屋に分けて展示されており、誠にに静謐な空間で私達は恰もその時代にタイムスリップしているような、ゆったりと落ち着いた気分で味わう事が出来たのでした。
一番見たかった絵についてのみ書き加えましょう。
それは“ドービニーの庭”と題するゴッホの最晩年1890年の作品です。
縦53cm横103cmのこの絵は同じ題で二作あり、その一つは日本の広島美術館にあるそうです。これはゴッホが最初の作品(バーゼル美術館蔵)を複製したものと言われています。

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バーゼルの絵では画面左下方に黒い猫が描かれていますが広島のはそれが
塗りつぶされているとか。並べて観たならたぶん全体の色調もかなり異るのではないでしょうか。写真は、写すことが禁止されていましたが、窓の外ならば、と美術館前の道路を挟んで向かい側のステキな住居を、もしも私があそこに住んでいるなら、と想像を逞しくして写したものと絵葉書の“ドービニーの庭”です。

次は紙の博物館へ。

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