ホームコンサート(ミニコンサート)に寄せて

今回の十里木ホームコンサートの印象記を私の友人の稲葉さんにお願いしておきましたら快く寄稿していただきましたのでご覧ください。以下は稲葉さんからの寄稿文です。

打越山荘での『ミニコンサート』に寄せて(平成27年7月5日)

標高900M余の富士山麓に、ひっそりと息づくアシタカツツジの杜別荘地。富士山文化遺産登録以降は、この山間部を縦走する唯一の幹線道路(国道496)にも、さまざまなお客様と夢を乗せて、観光バスがひっきりなしに行き交うようになって参りましたが、アシタカつつじ群生落に隣接した、手つかずの自然の中で、鹿や野うさぎ達が伸び伸びと遊ぶ豊かな風景は、ここでは到る所で散見される贅沢な場所でもあります。その奥まった一角に、手入れの行き届いた、打越様の素敵な山荘があります。そこで、この7月3日(金)午後2時から、チターのミニコンサートが開かれるというので、期待に胸躍らせながら、知人を誘って趣きました。今回も、打越様が主体となって演奏されるものと早合点しておりましたところ、華やかなステージ衣装に身を包んだ、妙齢の熟年女性お二人が、メインプレイヤーとして待機されておりました。(打越様は、昨年の9月辺りから腰痛に悩まされるようになり、目下治療中との事で、今回の演奏では、大事をとって司会者に徹されたご様子。)

打越惠藤c150703twb

そのお一人が、日本のチター演奏の第一人者である、西宮市在住の恵藤女史。もうお一人が、日本の歌曲に独自の編曲を加え、チター曲として海外に紹介されるという大変貴重なお仕事をされている森女史。(その知名度は、国内よりも海外での評価がより高いという実績の持ち主です。)

本来なら、これだけの名誉あるお二人に出演して頂けるというだけで、圧倒されてしまうのに、打越様のお陰で、この輝かしいお顔合わせを、難なく実現して頂けるとは!(私は勿論、)この場に集わせて頂けた方々は、どんなに幸せ者でしょうと、先ず、襟を正した次第です。恵藤女史による演奏曲目は、『ヨハン大公のヨーデル』にはじまって『ウィーンの森の物語』や、映画音楽でおなじみの『ララのテーマ』や『第三の男』等、目を閉じると懐かしい映像が浮かんでくるような、麗しいメロディーの数々。そのお心を込めて奏でて頂く流麗な旋律に、ただただ酔いしれさせて頂きました。中盤のティータイム後に、森女史が今年オーストリアで発表されたばかりとの編曲『通りゃんせ』を、恵藤女史とデュオで演奏下さったのですが、これは、実に見事でした。そのすばらしい演奏に、客席から思わず感嘆の声があがりました。日本の唱歌を、このような品格さえ感じさせる高度な編曲に施されて、海外にご披露下さったという偉業に、聴衆の一人としても、日本人として誇らしく感じ入ったことでした。

弦楽器、特にギターで定番の『禁じられた遊び』や『アルハンブラの想い出』に関しては、恵藤女史と打越様の個人的なエピソードを伴うご説明が場を盛り上げ、たいそう楽しい雰囲気の中で、しっとりと味のある演奏を聞かせて頂くことが出来ました。

打越ダンケシェーン150703twb

また、打越様の近隣にお住まいの方(勝矢様)が、作曲したてのピアノ演奏を披露して頂いたのには、(驚きを通り越して)感服してしまいました。(お孫さんへの子守唄とのことでしたが、そのメロディには、プロ顔負けのきらめきがありました。)プログラムも終盤にさしかかった頃、またまた嬉しいサプライズに歓声が上がりました。何と、スイスのエルガリーという、非常に珍しいアコーディオンに似た楽器を胸に抱えて、5人から成る熟年バンドが現れたのです。

打越a150703twb

なじみのある曲は、そのまま、参加者の手拍子に乗って、コンサートの楽しさを最高潮に誘いました。すると、今回は演奏を控えていらっしゃるものとばかり思われていた打越様が、せっかくだからと、ドイツのシュタイリッシェハーモニカによる演奏を始めて下さったではありませんか。聞くところによると、かれこれもう5年間もの歳月をその練習に費やして来られたとの事。その芸達者ぶりには、脱帽です。(音楽を愛する仲間に恵まれるという事が、人間にとってどれほど幸せなことであるかを、打越様は身をもって教えて下さっています。)

最後に、『見上げてごらん夜の星を』を、参加者全員で熱唱し、閉幕となりましたが、こういう趣向には、とても好ましい配慮を感じます。集った人々皆んなが心を一つに出来る、またとない、楽しい体験になるからです。

一緒に同行した知人が、痛く感激して、さっそく自分のブログに掲載したようです。(地元の議員という立場を生かして、この素敵なコンサートの宣伝に繋げて貰えたことと存じます。)無料でお茶菓子付きのコンサートだなんて信じられない、勿体無いばかりの、内容がいっぱい詰まった、素晴らしい演奏会でした。

主催者の打越様に、心から、心から、感謝申し上げます。

『ハウススタジオ 泰山木』主宰 稲葉仁美より

カテゴリー: 新着情報   パーマリンク