セミナー報告(3) H.Oberlechner の個人レッスン (敬称略)

IMG_3110.JPG-1オーストリアのZeillern で行われるVAMÖ セミナーについては2012年、既に詳しくお伝えしましたので、今回はオーバーレヒナーによる個人レッスンとラッフェレの入門講座だけを取り上げます。

彼はインスブルックとザルツブルクの音楽院でツィターを教える傍ら出版社プサルテリアを運営しています。出版目録抜粋によりますと、殆どの作品がオーバーレヒナーとイゾルデ・ヨルダン(オーバーレヒナー夫人)によるものでルネッサンス後期、当時盛んだったリュートの為の作品J.Dowland(1563-1626)や、バロックギターの為の作品L.Weiss(1686-1750)をツィターソロあるいは合奏用に編曲したもの、初歩の人向けのDuo/Trio曲集,これなど、今の私には丁度良いレヴェルに思われます。お仲間が近くにあれば楽しめるのに、と、とても残念に思います。数々のチロルの民族音楽、オーバーレヒナーとほぼ同年代の、現代の作曲家の作品、そして彼自身のジャズ作品、と広範に亘っています。

土曜の夜には講師陣によるコンサートがツィター以外の楽器、ギターやハックブレットの名手も加わって催されます。セミナー参加者は勿論のこと、ウィーンなどからも人々が楽しみに駆けつけるのです。特筆すべきはオーバーレヒナー自身のジャズ作品の演奏、これは瞠目に値する素晴らしさ、という点で、“衆耳目”の一致するところでしょう。数々の素晴らしい演奏の中にあって、一際熱烈な、そして敬意の籠った拍手が鳴り響くのが、このオーバーレヒナーの演奏に対してなのです。即興性・独自性の強い演奏ばかりでなく、チロルの民族音楽など、また他の楽器との合奏、ギターでの伴奏などもとても好きな様で、いつも気軽に応じて加わっている姿には綽綽(しゃくしゃく)たる余裕を感じます。

序に書き加えたいギタリスト、それはKerstin Neubauer, 彼女の演奏も飛び切り素晴らしく、聴衆を沸かせます。

さて、本題、個人レッスンについて、今まで私は何回か彼のクラスに入れてもらったことが有りましたが、特にアンサンブルクラスはレベルの高い人が参加するため、私など迷惑を掛けてしまう場合もあります。今年はそれぞれのレべルに合わせて貰える個人レッスンだけをお願いしたのでした。 個人レッスンはたった30分づつ3回しかありません。その中で一体何が学べるかも考えなくてはなりません。

Jazz-Exercises 6 から一番易しそうに思われる(1) を予め練習して臨みました。楽譜には “出来るだけ速く” と書かれていますが私はまだ彼の三倍もゆっくりにしか弾けません。『じきに弾ける様になるよ、リズムは正しいから。』 と励まされ、一緒に弾いてもらって雰囲気だけは感じ取る事が出来たつもりです。今回オーバーレヒナーから一番教わりたかった事は、この曲に限らず、Griff を左手でThack ! と叩いて打楽器の様にリズムを入れる、そのタイミングなのです。Tchack ! をリズミカルに入れた彼の演奏は誠に生き生きと素晴らしいのですから!日本に帰ってからでもゆっくり自分のものに出来る様に、五線紙に書いて理解するまで説明してもらえましたが、その様子を何も知らない人が見たなら、どちらが先生に見えたことやら。IMG_3109.JPG-1

個人レッスンの二回目にはSunny Rollins の聴き覚えのあるメロディー、„On the sunnyside of the street“と、 ヴェネズエラのワルツ二曲の楽譜を渡され、弾いてもらうと共に説明を受けました。楽譜は骨組みが書かれているだけですが、彼が弾けばうっとりするほど素晴らしい曲になりますが私が弾いたのでは、、、。この様な事は、W.Scharf のレッスンの場合にも度々あった事を思い出し、応用や即興の力、独自性、の大切さを身に染みて感じました。

三回目は、彼に謹呈した私のDuo Stücke から易しい3曲を選び、彼がZi.Ⅱを弾いて合わせてもらえた事が特に嬉しい想い出です。

たった30分を3回限りのレッスンでも、しっかり自分のものにするにはまだかなりの日時を要すると思われる、有難いレッスンでした。

7月1日  KAKO

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