ああ素晴らしい 美津子さん!

ミドレ ミソファ ファラソ 、、、 バッハのカンタータのメロディーが私を受話器に急がせます。

『トミーさんからメールが届いて、、、』美津子さんの希望に溢れる弾んだ声。

惠藤美津子・ANZ が主催する来春(2018年3月)のTomy Temerson コンサートは会場と日取りが既に今年の3月から決まっていました。 そこに最近になって福岡からも開催を希望する声があがり、結局九州から東京まで4か所でのTomy/Mitsukoコンサートツアーが決まったのでした。

今度はトミーさんのソロと美津子さんとのデュオで、トリオは無しのプログラムが組まれる予定です。時は既に半年後に迫っており、コンサートの形態や内容をトミーさんと打ち合わせる時期に来ています。

この秋11月には美津子さんがハーナウのトミーさんを訪ねて、デュオの選曲・CD録音の準備・練習も予定されていると聞いています。この様な状況の下に 『折角だから、少し早く来て、チューリッヒ・ツィターコンサート(11月19日)にも出演してほしい。』という内容のメールが届いた事を伝える電話だったのです。

振り返れば、2005年、ゴールデンさん主催のドルナッハ(ドイツ)セミナーで、美津子さんがトミーさんのクラスを取ったのが二人の出逢い、以来現在までそのご縁がお互いの演奏家としての成長と共に信頼で裏打ちされ、育まれて来たのです。

Tomy Temerson 来日コンサートは次回2018年が6回目にあたり、これと同じ位美津子さんもドイツ・スイスでのコンサートに参加している実績があります。

それならばこの秋のチューリッヒ・コンサートでのDuo演奏も全く自然の流れではありますが、そうは言っても地道な努力の積み重ねがなくては実現するものではありません。 誠に素晴らしいと思います。

あれは1995年、ミュンヘン・ツィターオーケストラの指揮者だったシュラーさんから招かれた美津子さんのお誘いで私もご一緒させて頂き、提供されたマンションで二週間余り過ごしたのでした。

その折りには日本では出来ない様々なツィター体験に恵まれ、それ以来、美津子さんは演奏・後進の指導に、私は日本のメロディーの編曲に、とそれぞれの道を励まし合いながら歩んだのでしたから、この度の事にも心からの祝福と声援を送らずには居られません。

この文章を書く上で、トミーさんと美津子さんの関わりを詳しく訊いてみましたら、2010年3月の芸文・トミーコンサートの前、1月に打ち合わせの為、彼女はハーナウのトミーさんを訪ねていたのでした。

その時は愛娘マリーちゃんはちょうど二歳なったばかり。赤ちゃん用の家具やドイツの木工玩具と共に、トミーさんの演奏家としてではない子煩悩な一面が印象に残ったようでした。

そういえば私もその前年(2009年6月)に、日本の曲・編曲作品のレクチュアを頼まれて、VAMÖセミナーの後、乗り換え乗り換え北に向かい、約5時間かかってトミーさんのお母様が迎えて下さるハーナウ駅.に到着したのでした。一歳半のマリーちゃんは 『ああ愛しい私の宝物!』と始終話しかけるグランマ、フランス人でお料理上手なママ、子煩悩な中にも一本筋の通った厳しさも持つ家長のトミーパパ、皆から慈しみを一身に受け、パパの弾く美しいツィターの音を浴びながら、ご機嫌よく過ごす日々でしたが、あれから8年、今は乗馬が好きな育ち盛りのお嬢さんです。

トミーさん、あるいはツィターの世界から見れば、東洋の果てに位置する日本は音楽的にも異文化の国、との思いが強いのです。

日本のメロディーとは、何を歌い、どういった感情を込めて作られた曲であるのか、一応理解した上で弾くのと、そうでないのとでは演奏の深みというものが違ってくるものです。それ故トミーさんは編曲者の私を呼んで、理解したいと思ったのでしょう。その姿勢には、流石!と思ったものでした。

“Mitsuko Etoh、 T.Temersonからチューリッヒ・コンサートへの出演を依頼さる” これは、ANZの未来にも繋がるビッグニュース。

ああ素晴らしい、美津子さん!

 

2017年9月12日 KAKO

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