アムゼルコンサートを聴いて KAKO ISHIHARA

 シルクハット.Still006_R.jpg-1日本では “春” と言えば鶯が、ヨーロッパのウィーンやミュンヘンの公園、もっと狭い一般家庭のお庭でも、日本の鶯と同じ様に愛され、よく透る美しい声で囀る鳥があります。 黒くてくちばしだけがオレンジ色をしたアムゼル、和名は黒歌鳥です。 その名の如く、歌うように囀るこの鳥にあやかって “アムゼル” と命名された合唱団の15周年記念コンサート(5月18日)を聴きました。

アムゼル15周年コンサート12_R.jpg-1会場は大船の鎌倉芸術館。 開場時間少し前に到着しましたら、ロビーに混雑はなく、既に客席にかなりの人々が着席しています。収容人員600席というこのホールは、混声合唱 とバイオリンソナタ, という今回の組み合わせには丁度良い大きさに思えました。入り口で手渡されたプログラムにザッと目を通すと、そこかしこにドイツ語が。曲目解説にも日本の歌がドイツ語に訳されて載っています。

日本の曲をZither 演奏用に編曲してきました私としては、ツィターコンサート以外で、この様なプログラムに出逢ったのは初めての事、演奏前から深い興味と親しみを覚えたのでした。曲目を見ても、私が今までに編曲したと同じ曲が幾つもあり、Zither コンサートの合唱版というような気さえするプログラミングです。

やがて第一部の日本歌曲の演奏がドイツの美しい民族衣装Dirndl(ディアンドゥル)に身を包んだ混声合唱団アムゼルによって始められました。

歌の一番は日本語で、二番はドイツ語で、と言った具合に、歌い進められ、最初の4曲を聴いての私の感想は、“ああ、ずうっと生きていたい!” という感動的なものでした。 病を得て、余命いくばくも無い、と言う状態でもさらさらないのに。

自作楽譜の発表の場でもあったオーストリアでのセミナーを、昨年で “卒業” した所為もあり、一区切り着いて少々気が抜けていたところにこのコンサート、自分の道を、まだまだ歩み続けたいという新たな気力が兆した瞬間だったのです。

発表の場が主にドイツ語圏であったため、日本の曲の題名をドイツ語訳で載せる場合も多く、どの語を当てれば相応しいか、など、今まで苦心したものでした。

今回のコンサートは、湘南日独協会創立20周年の記念でもある事、またこの協会はドイツ語講座 ・ 歌で楽しむドイツ語講座 ・ 講演会 ・ 懇話会 ・ 日独の交流などと、幅広くしかも深い活動をして来られた様で、20年前にこの協会の存在を知っていたなら、ドイツ語の上でも私はどれ程か助けて頂けたでしょうに、と、今更ながら悔やんだのでした。

9月に行われる “ドイツ生まれ日本育ちの歌” “現代に生きるグリム童話” の講演会は、是非とも聴講させて頂きたいものと、カレンダ-に印をつけて、今から楽しみにしております。

この日独協会の活動こそ、日本とドイツ(ドイツ語圏)との橋渡しを利害関係なく進める事の出来る、民間外交の最たるものではないでしょうか。

プログラムは、日本の歌、ヴァイオリン(ベートーヴェン スプリングソナタ))、ドイツ歌曲、映画音楽とオペレッタより、と進み、どれもとても楽しめる演奏であった事は写真からもご想像頂ける事と思います。            Kako Ishiha

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