Musik hat Macht ! 音楽には力がある! (4)

N響は2月にエストニアの首都タリンを皮切りに、ロンドン・パリ・ウィーン・ケルン・ドルトムントなど、ヨーロッパを18日間かけて公演したそうです。

コロナ禍がそれ程深刻ではない時期で、無事に目的を果たして帰国出来、本当に良かったと思います。その内、録画が次々と放映されるでしょうから。

7日(日)にはその内のタリンでの演奏が放映されました。

収容人数700名という国立歌劇場、なるほど、オペラが上演できる舞台だけあって、奥行きの深さ、内部の美しさ、瀟洒な佇まい、どれをとっても世界に誇れるコンサートホールでした。

パーヴォ・ヤルヴィがN響常任指揮者になって既に5年経つと言うだけあって“パーヴォ・N響”のサウンドをヤルヴィの母国、エストニアで思いっきり響かせるため一丸となってのプログラミングであったと思います。

* 武満徹 1991年作 ハウ・スロー・ザ・ウィンド

ちょっとだけフランスの香が感じられ、全体を通しては日本的瞑想で貫かれている作品と感じました。こんな曲、頭で響きを想像して書くのでしょうけれど、よく書けるものだ、また指揮も同じ事。演奏する団員の層の厚さにも感心して聴きました。

* シューマンのチェロ協奏曲 ソリストはアルゼンチン出身で、今大層な人気を博している、という、ソル・ガベッタ。

舞台に登る事が嬉しくてならない、といった溌剌とした様子は40歳間近とは、とても思えず、華奢な身体ながら実にエネルギーに溢れた好感の持てる演奏であり、人気を博す訳が納得のゆくものでした。

* ブルックナー 交響曲第7番

これが “ヤルヴィ・N響” のサウンドを思いっきり表に出しての演奏であったと思いました。曲目によって楽器編成を変化させたり、楽器の位置を常識にとらわれずに替えるヤルヴィ、この時は、チェロとベースを10台づつ位も用意し、重厚な響きを求めたように思われました。

殊に三楽章のテーマとして繰り返されるパッセージ、“ソーーソーードードドソーー”が印象深く、兄貴分のワーグナーの影響,もっと遡ればベートーヴェンの交響曲、第五番に行き着くかと思わせる ”N響・ヤルヴィ・サウンド“でありました。

数日前に完成、吊ってもらったベンチブランコに腰掛けて、樹木と空のみという、ちょっと浮き世離れした景色を眺めていると、色彩・風景・想い・希望、が音に依って語りかける音楽、“音楽は良いものだ”に辿り着くのです。

N響のエストニア公演を思い出しながら。

2020年6月9日 KAKO

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