短歌の学校一年生 (8)

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  短歌帳障子紙綴じ書き溜むる 拙き詠も趣の増す

 三島の佐野美術館へ、千代紙の展示を観に行きました。黄砂の酷い日で、富士山が目の前にある筈の三島でも、薄っすらとさえ見えませんでした。その往きかえりに、歌に詠みたいと思った情景が四題ありまして、やがて短歌になって生まれました。

  山桜 櫟の髪挿し(かんざし)賑やかに 峠はさながら合唱祭

  富士隠す黄砂とコロナの緞帳に 閃光のごと鶯の啼く

  少女子(おとめご)は千代紙集め惚れ惚れと 雅な嗜み昔語りか

  本線へ側道より入る吾が車 大縄跳びの児等のリズムで

今から30年余り前に山口大学で哲学科美学の夫の講義を受けた、という教え子から手紙が届きました。

  受講せり心震える思いにて 写真の夫(つま)に文読み聞かす

  身に付きし熟慮の習慣(ならい)講義から 写真の夫に震え声にて

飼い猫シュヴァは先月初めから、具合悪く、食べないものだから見る影も無く痩せました。状態を知るために一度だけ動物病院に連れて行きました。レントゲンや血液検査の結果、内臓に出来物が広がっていて、もうどうする事も出来ないそうです。でも痛くも苦しくもない様子に、自然に任せ神に委ねて生を全うさせる事に決めました。

ゴジラが毛皮を着ている様なゴツゴツのフワフワを、今は“有難う”の思いで見守っています。

猫は背で身を以て示す老いるとは 香箱座りの沈思黙考

老い猫にあれこれそれと皿並べ 進まぬ食欲やがて吾にも

“ペロ”という単位作りて 水を飲む猫を見守る桜散る頃

令和三年 卯月 歌人(うたびと) 野の花(ののか

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