日常、いろんな事が我が身に押し寄せ、従っていろんな想いを味わいつつ、“生活雑詠”を、今のところはまだ楽しんで作っています。
短歌の世界では、詞書(ことばがき)を嫌う向きも無きにしも非ずですが洗練された都会暮らしの人と、私の様な”自然児“とでは、理解にどうしても差が生まれて来ます。短歌には関連の無いANZという場に発表させて頂く手前、理解の一助にと、折りに触れ詞書を添える事と致します。
握手などとんでもないとコロナ禍で スナップエンドウ採り時握手
畑でスナップエンドウを摘む時,実の入り具合を一つづつ触り、確かめて摘み取ります。実が膨らみかけの方が美味しいから。
ああそうかそんなものかと眠られぬ わが枕辺の短歌入門
歌の本深く感じつ読み居るを 終えたら貸してと気安く言う友
詠む力読み取る力に比例して
心の象(かたち)に短歌(うた)歩み来る
年初より短歌(うた)詠い初むわが書棚
アコーディオンの蛇腹の拡がり
八重の花味わひ再び苦しみの 僅かなりとも吾も担わむ
手術を受ける友、無事に笑って帰れるよう、
フェルトで作った御守りです。
八重の花 “笑って帰る” を祈りつつ 縫いし蛙はもう息してる
ガラス戸にひたすら羽ばたく白き蝶 指に幽(かそ)けき命の鼓動
ガラス戸で出られない蝶を見つけたら、どうしますか?まず戸を開けてやりますが、それでも出て行ってくれない、仕方なく翅を指でつまんで(鱗粉が少し落ちるのも可哀そうだけど)外に出してやる時、翅の葉脈から蝶の鼓動を感じました。
ナナハンに二つの銀色ヘルメット 爆音遠く伊豆黄金崎
パソコンのキーのタッチはピアニスト いかにも君のノクターン聴く
セレナーデは主に弦楽、ピアニストなのでノクターンとしました。
パリ1区オランジェリーの睡蓮の間 この夏帽子の吾を見出せ
一首に付き、帳面1ページ真っ黒になるほどの推敲を施しますが、井の中の蛙、青い空は一向に臨めません。
お読み下さり、有難うございました。
令和3年 皐月25日 歌人 野の花