短歌の学 校一年生(15)

雛三羽翼も未だ生えぬのに 大風に乗り地球を捨て去る

8月25日のお昼頃には、雛の動く気配が感じられ、ああ生きている、と安堵したものでした。夕方から雨戸を閉て廻す程の大風が吹き、でも二時間程で風は止みましたが、ピーちゃん達を心配しつつ翌朝を迎えたのでした。恐る恐る二階の窓、カーテン越しに見ると、巣の中は暗くて、雛の動く気配がありません。そう言えば、南天の繁みが疎らになり、細い幹も顕わになっています。意を決し窓を開けてよく見ると、巣は落ちずに枝の又に残っているものの、ピーちゃん達の姿は何処にも見い出せないのです。地面に落ちたのか、烏にでも捕られてしまったのか、、、。

鳥の巣図鑑も届き、それによると、どうも願っていた画眉鳥ではなく、ヒヨドリの様でした。画眉鳥の卵は水色なのです。ピーちゃん達の卵はベージュにこげ茶の斑点がありましたから。何鳥にせよ折角孵化したのですから、巣立ちまで見届けたいものでした。順調に育てば孵化から半月前後で巣立ちを迎えるらしく、9月6日あたりに飛び立つ姿が見られたのに、残念です。

画眉鳥は 大きな綺麗な声で “いいよいいよ、それでいいよ“ と、私のことを肯定してくれている様に、聞きなす事が出来るのですもの、三羽も増えて家の周り“いいよいいよ”の合唱が聴けるかと夢を描いていましたのに。ところが、その声の大きさが災いして、鳥の “ワースト100” に入るのだとか。その他、捕食が主に地面で、ツグミなどと競合する所為もあるのだそうです。

空になった巣を取り出して見ると、材料は蔦の蔓・笹の葉・すすき・ビニール紐、布切れ等が使われて、何とも雑な作り。メジロ等の巣はいかにも精緻で、大工さんが建てた家とすると、ピーちゃん達のは私が建てたバラック小屋の様でした。

  ガビチョウ   中国の峨眉山に由来する名ではありますが、鳥の名としては “画眉” の字を    当てるようです。

令和3年長月6日 歌人 野の花

カテゴリー: 新着情報   パーマリンク