吾と共に時を刻みし白木蓮大樹となりて木霊棲むがに
木蓮は平和の白鳩咲かせたり争いの国へ飛び立てよいざ
春寒し世界の平和望めども吾に出来る事うた詠むのみか
切々と故国の平和訴ふる美女バンドゥーラかき鳴らしつつ
平和をば踏みにじられしウクライナ歓喜の合唱いつの日響く
マニキュアで染め尖らせて手入れさる乙女の爪に動物を見る
ノラなれど猫の作法は守りたり食べたいけれど残す三粒
(ノラのトラ吉)
雨上がり鍬振るごとに匂ひ立つ土に秘めらる芽だしの力
画集観て後に畝ひしジャガ畑モンドリアンの絵画にも似て
踏まれても健気に咲くる胡瓜草花との会話はピンチアウトで
(写真 大辻一徳)
スマフォしか触ったことの無き様な手から教わるシミだらけの手
居士大姉スマフォアドより戒名の有難味あり回忌の供養
ひらひらり花びら一ひら舞ひ込みて緋の毛氈にすまし顔
(写真 大辻一徳)
おいしいよ美味しく食べてと口揃え友から届きしいかなごくぎ煮
栴檀草土筆ん坊を守り居り摘むは許さじと言はむばかりに
セントウ草小さき虫のカフェテラス自然世界は分を弁え
なかなかに秀歌などは詠めねども考え迷う刻の安けし
ホーほけヶ撫でてやりたしその頭幼き吾子の初めての歌
“菫”とふ名に憧れし乙女の日心は今もすみれ色らし
令和 4年彌生25日 うた人野の花