短歌の學校(28)

父の手で化粧されたるバイエルに 我が音楽の原点を見る

秋雨に非あるは吾と知りてより 不明を恥じつ眠れなき夜

白嫁菜群生すとふ遠笠の 原生林に明らけく咲く

エルガリの蛇腹の動き目いっぱい 気に病む吾を呵々大笑す

掌に銀の真珠集めむと むかごの眼鏡かけて散歩す

車停め遠慮がちなる声掛けらるる 「置いてきましょうそのゴミ袋」

アサギマダラゆらりゆらりと舞い降りし 藤袴の園遠き道程

われ八十路ツーシーターのスポーツカー 屋根開くるたび気の若返る

ソリストのこの日の為のカデンツに 聴き手招かる平和のシェルター

幸福を二匹の猫に分け名付く われ真っ先に貰いし幸福

令和4年神無月25日 うた人野の花

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