シャルフ教授の来日演奏(S.Ushikoshi)

シャルフ教授が永谷音楽事務所の招聘で来日し、11月中の約10日間の滞在中にたくさんのチター コンサートやセミナーをされ、好評を得て帰国されました。 主として関東地方を中心に演奏活動をされましたが、すでにチラシを掲載してご案内のように、愛媛県松山市で四国日墺協会主催のホイリゲ パーテイーで、演奏なさいました。 この演奏に先立ち今治市の佐伯島の中学校で演奏をされて約200人の生徒や関係者を感動させたとのことです。写真と四国日墺協会の田中熊一さんからの投稿文をご参照ください。 今回、シャルフ教授が編曲されたギターの名曲、ターレガの「アルハンブラの想い出」のチターのための楽譜も持ってきていただきました。ご興味のある方は、会員専用ページをご覧下さいませ。

以下は、日墺協会の田中さんからの投稿文と写真です。

恒例の松山でのホイリゲパーティーの模様と、会場で演奏されたチター音楽の醍醐味をご紹介します。オーストリアの代表的な民族楽器チターにつきましては映画「第三の男」でチター奏者のアントン・カラスが演奏するテーマ曲でその楽器が広く知られるようになりましたが、それでもこの楽器は音量も小さく演奏も難しいのでピアノ、ヴァイオリンのように一般に普及することはありませんでした。しかも、アカデミー(国立音楽大学)の学科は、オーケストラ楽器であるピアノ、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、ギターなどが主流で「チター科」はなく、一部の音楽学校で教えられているだけで、今回来日されたヴィルフリート・シャルフ教授もオーストリア・リンツのアントン・ブルックナー音楽学校のチター科教授という肩書です。一般にはチターという楽器はホイリゲ(居酒屋)かレストランで、酒を飲んだ人を相手にして生計をたてる流しの演奏家としか認められていないのですが、今回来松した同教授、今年、新年恒例のウィーンニューイヤーコンサートでヨハン・シュトラウス作曲「ウィーンの森の物語」の中のチター・ソロを演奏し大変注目され、チター奏者としてのイメージを一新しました。2001年に初来日し、その後度々来日し、日本でも同教授の教えを乞う方が沢山いらっしゃると伺っております。今回の同教授の演奏を聴いて、チターを「滅びの楽器」と称する先入観を一変せざるを得ませんでした。今回11月11日の松山でのホイリゲパーティ―の前日、今治市伯方島・伯方中学校体育館にて学童約200名の前で演奏会を行いました。 P1010758 会場が広いこともあり、マイクが使われましたが、学童に与えた感動には何の支障もなかったようでした。最初、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が演奏されましたが、まさかチターでこの曲を聴くとは思いませんでした。 P1010760 ついでイタリア、フランス、スペイン、ドイツ、イギリス、ハンガリー、ロシア各国の名曲が次々に演奏され、さながらヨーロッパを一周している気分でした。父兄の方も学童と一緒に聴いておられましたが、その中の一人で同島の医師で音楽愛好家が「こんな島でチターによるこんな演奏は考えられない!奇跡だ!」と叫んでいたのが印象的でした。同教授がギターの名曲「アルハンブラの想い出」を華麗に演奏するのを聴いていると、知人でギターの名手でもある某耳鼻科医師が「私はチターには全く関心がありません」という言葉が空しく響きます。この小さな楽器のチターはほぼピアノと同じ音域をもっており、しかもこの楽器での演奏を聴いていると、オペラグラスを逆さにしてオーケストラを覗いている気分になります。チターの醸し出す音色が音楽の国、オーストリアの代表的な民族楽器となりうる所以です。今回のシャルフ教授の超人的な演奏を聴いているとチター音楽の魅力に強く惹きつけられます。  当夜は地元の旅館に泊まり、魚介類のご馳走を味わいながら15年振りに旅館の女将と再会を果たしました。 P1010777 彼女の美貌は衰えることなく、その女将の歓待に応えるべく、浴衣掛けのシャリフ教授のチター演奏が奏でられ、座は大変盛り上がりました。 P1010771 ついでながら翌朝は、6月号でご紹介したかと思いますが、オーストリア大使館次席大使ヘルベルト・ピッヒラー公使も表敬訪問した今治市のベルべデーレ宮殿を模した(株)日本食研の工場見学後、応接室でチターの演奏を行い、初めて聴くチターの演奏に従業員の皆様感銘を受けておりました。  さて、翌日のホイリゲワイン解禁日、11月11日、恒例のホイリゲパーティーを行いました。乾杯の前に、約1時間、シャルフ教授の演奏をワインを飲みながらでなく、息を飲みながら聴いて(30名余の観客)おりました。 P1010805 その音色のあまりの美しさに溜息が出るほどでした。演奏はピアノと同じで、右手でメロディーを奏で(チターでは弦を撥く)、左手で伴奏(チターでは弦を押さえる)します。こうなると代表的な撥弦楽器のハープ、ギターもチターの表現力には敵いません。最初の投稿文(モーツァルト・ヴァイオリンソナタK.481再発見)で紹介しておりました、春日井市出身の伊藤かおりさんがゲストで得意のF.クライスラーの「愛の悲しみ」をシャルフ教授の伴奏で演奏、同じく西村 壮君が「愛の喜び」と続き、前半の最後は西村親子のピアノ、ヴァイオリンでヨハン・シュトラウスのワルツ「ウィーンの森の物語」、チターソロがシャルフ教授、拍手大喝采で盛り上がったところで松山モーツァルト会西村真也会長の乾杯の音頭で、長いお預け?の後、一気にホイリゲワイン、美味しい料理へ向かい会場は酒宴の坩堝(るつぼ)?、今回初めて提供したシェフとっておきのジビエ料理(鹿肉をベースにした)も大変好評でした。圧巻はこの日のフィナーレで同、西村親子によるレハールのオペレッタ、「メリーウィドー」のワルツや「金と銀」などの演奏を伴奏に会員ペアによるウィンナダンスで幕となりました。今までのホイリゲパーティーでは一番楽しいものでした。来年のホイリゲパーティーでお互いの再会を誓い解散となりました。 <追伸>日曜日午後2時からのNHKFM番組「きらクラ」で私がホイリゲワインについての投稿文が放送されました(11月9日)。ラジオネーム松山の「白くまさん」で紹介されました。

 

以上、日墺協会の田中さんからの投稿文でしたチター(ツィター)の形や演奏方法については、このホームページの「チターという楽器」のコーナーに掲載していますので、ご興味のある方はご覧下さいませ。

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