短歌の学校一年生 (13)

6月の大潮に堂ヶ島のトンボロを渡りました。伊豆を一周したいと思ったので、途中、下田から石廊崎廻りで、ヴィジターセンターに寄り、宇宙衛星による畳三枚分位の半島拡大写真を見て感激。遥か空の上から実際に伊豆半島を眺めている、人間を卒業したような気分になったものでした。

伊豆半島衛星写真は深緑 われ一世(ひとよ)をば終えし神のごと

トンボロ渡りは10年程前に一度経験していますがその時はすっかり潮が引く前で、水深10~20cm位の中をジャボジャボ渡ったのでした。写真は今回ホテルに着いた15:30頃で上げ潮の中を歩く二人、美しい情景です。10年前私が渡ったのは丁度この様な状態だったのでしょう。IMG_6184-1

 

 

 

 

 

今回は、12:00頃この状態の時で、こんなに幅広く道が現れる事にびっくり。石はごろごろグラグラつるつる、足元ばかり見て歩きましたので、時々顔を上げないと、海に向かっていたりもするのでした。IMG_6177 (2)-1

 

 

 

 

 

大潮に足元ばかり見て渡り 方向失う伊豆の陸繋砂洲(とんぼろ)

大潮に伊豆の陸繋砂洲(とんぼろ)渡りつつ モーゼの戒め・

                 モン サン ミッシェル

翌日は、堂ヶ島からなるべく国道を外れて海沿いを帰る事にしました。堂ヶ島の続きに、田子という地があり、浮島海岸と言われています。行ってみると、ちいさな美しい海岸で、知る人ぞ知るダイヴィングスポットなのでしょう、10組位の人々が、冷たい・寒いと言いながらも嬉々として海に入って行きました。私は反対側の海岸を少し歩いて、なるほど、島がいくつも海に浮いている、その右側を見ると、これもトンボロではないの!発見したような喜びを感じました。

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地図上で上方向に進み、硝子の材料である硅石の産出量が飛びぬけて高かったという黄金崎の高台で、有名な“馬ロック を眺め、

IMG_6194-1これも硅石で出来ている岩らしい、この高台から海辺に降りてみたいものだ、どんな石ころがあるのか、と思いながら硝子のミュージアムへ。

硅石は、硝子の原料として、戦後まで何と70%もの需要をここ黄金崎近辺で採掘し賄っていたとか。資源の枯渇で2008年に閉山となったそうです。

 

伊豆巡る地下のマグマに想い馳せ 一世(ひとよ)短し金の砂粒

伊豆半島20万年歴史あり 砂粒一つのわが “時” 愛し

西伊豆町は、富士山と夕日の美しい所です。町が宿泊者にユーロならぬ、“ユーヒ” カードとして、この夏の間、宿泊料金に応じてサーヴィスしており、3000円も入ったカードを受け取ったのでした。

硝子のミュージアムで、白いマーガレットが描かれている手作りのワイングラスを気に入り、そのカードで購入し、とても良い記念になりました。

なみなみとワインをグラスに注ぐ夜 マーガレットもほろ酔いゆれるIMG_6206-1

 

 

 

 

 

 

 

7月3日に熱海・伊豆山で大規模な山津波が起き、甚大な災害をもたらしました。梅雨時や台風などで降る大雨の事を、“白い雨”、山津波・土石流の事を “蛇が抜ける” と表す言い伝えがあるそうです。気象予報士で、随筆家でもあった倉嶋厚さんの本にもその言い伝えが書かれています。

白い雨黒き大蛇が熱海を下る 倉嶋厚再び手にす

白い雨身の毛もよだつ大蛇抜け 伊豆山の災ひとごとならず

エルガリを弾いていたらすぐ傍の花ノ樹に中鳥が止まり、競うかの様な大きな声で囀ります。カメラを下の部屋に取りに行って、戻ってもまだそのまンま。

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くりかえすエルガリの音に誘われて

           峨眉鳥(がび)くりかえすソレデイイヨと

くりかえすエルガリの音に誘われて

          ソレデイイヨと峨眉鳥(がび)啼くものだから

出来た短歌(うた)を、月一度まとめて25日にANZに掲載させて頂く、これが作歌の励みとなっています。今月は詠みたい気持を刺激する出来事も多かった所為で、早くも10首出来てしまいました。短歌の巨匠たちも、駄作を恐れずに、沢山発表する事を勧めて居られます。

お読み下さり、有難うございました。

令和3年文月10日 歌人 野の花

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