暖かき伊豆なればこそ一房の桜咲き初む如月朔日
自分ではそんなに生きたと思わぬによってたかって傘寿と祝う
(昨年12月25日に西宮でANZ の皆様がお祝いして下さった時の詠)
傘寿われ一日一日の積み重ね新たな一日律して生きん
赤き実の鳥ついばみし跡もなく柿の北限雪降りしきる
(写真 吉井良平)
睦月詠草朗誦すホホウホホウと森辺の梟
鬼は内佐渡の民話の温かし鬼は決して恩を忘れず
A.カラス来日知るとふわが夫にツィター奏でて回忌の供養
白壁に茅葺きの堂つらら下げ朝の勤行ウインドチャイム
(写真 吉井良平)
心萌ゆ通信講座新学期始むる事に遅すぎは無し
朱の入りし後のわが歌なるほどとこの感動を深く刻みぬ
歌集とは一頁ただ二行のみ白き行間われに委ねて
歌人あり心秘かに師と仰ぐやさしく深く大岡信賞
多々良沼数多の鴨を観客に主役迎えてスワンレイクを
多々良沼葦の褥のぬくぬくし約束のごと冬鳥飛び来る
器用ねと褒めたつもりでひとは言う紙で試してそれからミシン
ミシン出し指ぬきはめて蘇るおかっぱの吾のスカート縫う母
歯科の椅子ユニセム、A-2聞え来る医師の手頬に優しく温し
白鳥と見紛うばかりの白鷺のグライダーのごと飛びたてり
(写真 吉井良平)
さあ飛ぶぞ覇気みち充ちてノーマルヒル師に恩返す表彰台
オリンピック決勝実況アナウンサー興奮するも言葉選びて
オリンピックのボランティア凍る睫毛で零れむ笑みを
捧げたやこの麗しきラナンキュラスを泪に暮るるパシュート菜那に
(写真 大辻一徳)
8:2心に占めし割合の短歌五線紙に取って替わりぬ
令和4年 如月25日 うた人野の花