短歌の学校一年生 (21)

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暖かき伊豆なればこそ一房の桜咲き初む如月朔日

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自分ではそんなに生きたと思わぬによってたかって傘寿と祝う

(昨年12月25日に西宮でANZ の皆様がお祝いして下さった時の詠)

傘寿われ一日一日の積み重ね新たな一日律して生きん

赤き実の鳥ついばみし跡もなく柿の北限雪降りしきる

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(写真 吉井良平)

睦月詠草朗誦すホホウホホウと森辺の梟

鬼は内佐渡の民話の温かし鬼は決して恩を忘れず

A.カラス来日知るとふわが夫にツィター奏でて回忌の供養

白壁に茅葺きの堂つらら下げ朝の勤行ウインドチャイム

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(写真 吉井良平)

心萌ゆ通信講座新学期始むる事に遅すぎは無し

朱の入りし後のわが歌なるほどとこの感動を深く刻みぬ

歌集とは一頁ただ二行のみ白き行間われに委ねて

歌人あり心秘かに師と仰ぐやさしく深く大岡信賞

多々良沼数多の鴨を観客に主役迎えてスワンレイクを

多々良沼葦の褥のぬくぬくし約束のごと冬鳥飛び来る

器用ねと褒めたつもりでひとは言う紙で試してそれからミシン

ミシン出し指ぬきはめて蘇るおかっぱの吾のスカート縫う母

歯科の椅子ユニセム、A-2聞え来る医師の手頬に優しく温し

白鳥と見紛うばかりの白鷺のグライダーのごと飛びたてり

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(写真 吉井良平)

さあ飛ぶぞ覇気みち充ちてノーマルヒル師に恩返す表彰台

オリンピック決勝実況アナウンサー興奮するも言葉選びて

オリンピックのボランティア凍る睫毛で零れむ笑みを

捧げたやこの麗しきラナンキュラスを泪に暮るるパシュート菜那に

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(写真 大辻一徳)

8:2心に占めし割合の短歌五線紙に取って替わりぬ

    令和4年 如月25日 うた人野の花

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