短歌の學校一年生(25)

短歌の学校一年生 (25)

          (写真 吉井良平)

エゾリスの花の蜜吸う一瞬を留めて魅する写真一枚

歳かさね心のありよう新にすS.ウルマンの “青春の詩”

歳経るも知らなき事の多き吾情報単位学びて新し

             (写真 石原和子)

見付けたりジャガの実なれどミニトマト茄子科の一族争いはせず

英国の長きに亘る女王位ロンドンの街祝い一色

ミュンヘンの駅に花束抱え待つ友との再会有りや無しやと

梅雨寒や手あたり次第重ね着し受話器を取りてパリコレ語る

              (写真 吉井良平)

クマゲラの巣立つ一瞬写し終えフーーと息吐くヴェテラン写真家

お隣の脱走したる黒柴に無き尾を振りて抱きとむる吾

柿田川湧水かすめ翡翠の青の幻影去り行きし友

            (写真 大辻一徳)

葉に止まる洒落た模様のカミキリにイラ草見る目少し変わりぬ

膝傷め歩むリズムは三拍子ワルツ踊れる短歌も詠める

膝痛み思うに任せぬ庭仕事他人(ひと)を頼みてもどかしさ増し

                (写真 石原和子)

峨眉鳥(ガビ)啼くをソレデイイヨと聞きなすも

              縫い直さねば帽子のサイズ

吾一人長生きしたとて如何にせん友ありてこそ生きる甲斐あり

狭き庭と嘆くなかれそれなりに趣通ず短詩の世界

              (写真 石原和子)

紅白の絣解きてパンツ縫う誰が履くのと訝しがられ

父の日や弱き横顔知りてより思い遣る娘(こ)の大人への道

ムラートフ記念のメダル競売にノーベル平和輝き増しぬ

枕辺で落語CD聞く夜は笑い顔にて眠りに落ちる

令和4年水無月25日 うた人野の花

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