オーストリアチター協会セミナー報告9「百花繚乱の夕べ」(KAKO)

Bunte Abend (百花繚乱の夕べ

夜のコンサートの最後を飾るに相応しく、色とりどりに出し物が組まれ、
“Mr.Seminar” Freddy Golden (ゴールデン)の司会で華やかに繰る広げられます。
5クラスあるワークショップの発表の他、子供達のツィター・ハープ・
ハックブレット・ボタンアコーディオン等の微笑ましいアンサンブル、
Golden クラスのコーラス、そして寸劇。これほど楽しい夜が他にあろうか?と思える程の出し物の数々。その中から二つ三つ、ご紹介致しましょう。

中でも爆笑の渦につつまれたのは、ボタンアコーディオンの名手
C.Krenslehner と F.Goldenによる寸劇、そのおかしさ面白さは写真でご想像頂くとして。


参加している子供から大人まで、そして見ている者もニコニコ顔に、またリズムに誘われてつい身体を動かしてしまうのが、W.Raubek 指導のリトミックの一種、“身体と環境に優しいパーカッション”

荷を運ぶ一輪車に人を載せて出て来たり、実際に木切れを鋸で引きその音をリズミカルに利用したり、ボールを弾ませることと声を合わせてかなり複雑なリズムと響きを創り出す、と言った風に、楽器や技術・テクニックなどと言う現代の高度に発達してしまったものを全く必要としない“音楽”。 これだけで人は充分楽しめるという音楽の原点に立ち返らせるものでした。

数年前、このクラスの発表を見ていた2歳位の坊やが突然奇声を発し凡人に育ってしまった大人達はびっくりした事がありました。

いわゆる“社会性”のまだ芽生えていない子供に、このリズム遊びが音楽の原初的働き掛けをし、何かを呼び覚まし、自然に声を出させてしまったのでしょう。
原始的音楽の持つ強い力に感心させられた出来事でした

その坊やもひときわ優れた音楽性を隠し持っていたのかも知れません。
“音楽家はこうして育つ”という見本の様に、様々な楽器と戯れる機会を与えられ、音楽的に豊に育っている姿を今年も目にすることが出来ました。

今回は見物と決めたダンスクラスは、モーツァルト・ベートーヴェン時代の貴族社会での舞踊を再現していました。
華やかな衣装を、男役の女性もそれらしく用意し、その時代の音楽をハックブレット・アンサンブルが忠実に再現し、観客もお城の大広間に招かれた気分です
お終い頃には見物のオーバーレヒナーも誘われて踊りの輪の中に。“絵”になるシーンでした。

一同、満足感ではち切れんばかりに満たされた頃、Golden がピアノに向かい、ブラーブスの子守唄をテーマに即興で華やかに繰り広げ、やがて人々の気を鎮めるかの様に静かに歌声を導きます。

会場が一つとなって “Guten Abend, gut’Nacht mit Rosen bedacht,”と歌いだし、今年のBunte Abend は閉じられたのです。
時計の針は既に22時を回っていますが、人々はこれから喫茶室へ。

思い出しても ああ楽しかった!

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