最近感動の一枚

先日浜松楽器博物館、天空のホールでWilfried Scharf のツィターコンサートが行わ
れました。
ソロの他、デュオ、打越さんが加わってのトリオなど、楽しく聴けるものでしたがさすが、W.Scharf の演奏は“超絶技巧”とも聴こえるトレモロ奏法(これは実に合理的、かつ効果的奏法)を多用した編・作曲で、終わりの4曲は、終生、一“楽徒”に過ぎない私などには近づき難いものでした。
販売されていたCDを選ぶにも、これから弾けるかも知れない曲を探そう、という思いはきっぱりと諦めてWiener Blut (ウィーンの血) ハープ・ハックブレット・ギターそしてScharf のツィターで演奏している気楽な一枚を選びました。
人の世には、世間一般とは少し異なる世界で生きている様な、純粋な心の持ち主がたまにありますね。そういった人達と同じように、幼い子供は自らの内面から湧き上がる感情を素直に現わします。
もう大分前の事になりますが、オーストリアのセミナーで、パーカッションのコンサートがありました。親御さんと同席していた幼児が、感に堪えないといった感じで奇声を発したのです。あの子は正常に成長しているのだろうか?と一瞬思ったものでしたが、そう思う自分こそ人の世の穢れに染まり、自ら湧き上がる感情や感動をそのまま表すことが出来なくなって既に久しいのだ、と気付いた出来事でした。
特にパーカッションは原始的感動を呼び覚ますものなのかとも思いますが。
浜松で選んだCDは、それぞれの楽器の音色が調和し、実に楽しく聞き流せるものでした。
車の中で聴いていて、あるところで、あああ、うううん、ここ、ここいいなあ!という思から“人の世の垢”にも染まっているでしょう、この私が思わず奇声をあげたのです。
それで、オーストリアであった事をも咄嗟に思い出したのでした。
曲はJ.Strauss Tritsch-Tratsch 下から駆け上がる音階がハープの爪弾きで、実に効果的にうまく奏されています。
そのCD. 次の曲はDonauwellen(ドナウ川の漣)。
これも小学生の頃器楽合奏でアコーディオンを受け持ち、よく演奏したものでした。
その頃からの自分の音楽との深い関わり故の幸せを、ドナウ川の漣一曲で思い返すことが出来、胸の熱くなるひと時でした。
そういった訳で、Wiener Blut は“お気に入り”の一枚となったのでした。

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