
(写真 大辻一徳)
窓越しの梅の老木ふふみゆき ベッドの友を慰むるらん
白きもの手に受け見れば跳びはねる 霰ぞまるで小人の豆撒き
ガガイモの銀の綿毛に頬撫でられて 雑木林の小春の散歩
鬼は外殻つきピーの福は内 転がる豆に猫おおはしゃぎ
川エビやダボハゼ捕りし幼き日 語りつ流る春の水音

(写真 石原和子)
軒下を住処と定めし立金花(りゅうきんか)
陽気な黄色足るを知るなり
奏でるも一日二日措きなれば 不協和音にハッとさせらる
去年より十日も早き初音聞き 吾が弾む声写真の夫に
ヴァレンタイン有難迷惑かも知れぬのに
「ケークサレ」をいそいそと焼く
攻められて一年経ちぬウクライナ キーウの鳥の歌切々と
令和5年如月25日 うた人野の花